the poetics of chanrie's everyday life
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私の顔よりも大きい大きな紫陽花が、細い木の上に不釣合いな様子で乗っている。
あまりに大きすぎて、枝が切り落とされた細い細い木がしなっている。
紫陽花が装飾花だということを知ったのはつい最近で、よく見たけれど紫陽花の花がどれなのか分からない。
左巻きの蝸牛は毒もちだと誰かが言った。
昔、手のひらほどの左巻きの蝸牛を見たことがある。
聡明な紫色の大きな紫陽花の下に、毒々しい色をした蝸牛は隠れていた。
蝸牛がこんなに恐怖を引き立てるとは。
私は引きつったままその場に立ち尽くした。
どうしたらいいか分からなかった。
つかんで食べられたらどうしよう。
蝸牛がもし腕を噛んだりでもしたら、全身に毒が回って死んでしまう。
世界にあの蝸牛と私しか居なくなったその瞬間、ひろが蝸牛をむんずと掴んだ。
ひゃっと、間の抜けた、しかしあまりに驚きすぎた声のような空気を発して私は凍りついた。
そしてひろは無表情のまま、その蝸牛を手に乗せ、私の目の前に差し出した。
こんな単純なことで、私は人への殺意を確かめることができた。
それほどまでに、ひろは私の世界に対して鈍感であり、敏感であった。
大きな紫陽花のその下には左巻きの蝸牛が居る気がして、私は未だに紫陽花を好きになれない。
それでもお構いなしに紫陽花は私を騙し続ける。
花だと偽ってみたり、蝸牛を隠してみたりして、私の感覚を、私の恐怖を、紫陽花は騙し続けるのだ。
それでも愛しい紫陽花よ、どうしてひろを隠してしまったの?
その偽りの花をめくり上げたら、そこには多分ひろが居る。
だから私は、紫陽花の花の下を見たりはしない。
多分相変わらず無表情で、私がおどけた顔でため息をつくその瞬間に入り込もうとするだろうから。
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